※以下に「ゲーム・オブ・スローンズ」シーズン7第3話のネタバレが含まれる。

今週、「異国の侵略者」は、実にエモーショナルで、重要かつ波乱に満ちたエピソードに「北の落とし子」を招き入れた。ジョン・スノウはついにデナーリス・ターガリエンと相対し、キャスタリーロックが(7年焦らされた後に)初お披露目、数名の毒死、そしてシーズン1以降初めて、スターク家の人間がまた2人、再会を果たした。

さて、全体を通して、サンサとブランの再会が最も取るに足らない要素に感じられたということは、「女王の正義」がいかに盛りだくさんだったかを物語っている。去年、サンサとジョンのきついハグがシーズン6の山場だった。しかし、不思議に聞こえるだろうが、 長い年月を経たサンサとブランの再会は、やや気の滅入る瞬間だった。第一に、ブランはいまや、完膚なきまでに冷淡な人間だ。彼の言葉は単調で、感情がない。第二に、スターク家の一員として、過去から現在までブランがお気に入りだという人は皆無だ。第三に、アリアが現れるかと思いきや、現れなかった。(あるいは、いたのか?) アリアがナイメリアと出会った後に辿った道は、わからないままだ。一瞬、私たちはアリアとサンサの再会を目にできるかと思っていた。そんな希望の光の後にブランの姿を見ても、落胆しかない。

ゲーム・オブ・スローンズ

 

とは言え、二人の再会は悪くなかった。あれは、まあ、興味深かった。ジョンが旅立った今、窮地に立たされたサンサは、一層リトルフィンガーの小評議会に身を乗り出してしまいそうだ。リトルフィンガーはサンサに対し、どんな事が起きようと驚かぬよう、自身がいかに心の中であらゆる戦争を想定しているかを語った。実際、その言葉の直後、まさに万事を見通すブランに会うという流れはなかなかクールだ。今のサンサには奇妙な仲間がいて、もしブランが冷酷にもサンサの過去のトラウマを思い出させるようなことが続けば、素晴らしきリーダーであるサンサでさえ、いずれ誤った方向に翻ることになるだろう。

完全に横道にそれる前に、ジョンとダニーの出会いについて語ろう。

「女王の正義」に進むにあたり、視聴者は「どれくらいジョンとダニーのシーンがあるだろう? 出会いの場面は最後に来るのだろうか? クレジットが流れる直前だろうか?」などと思いを巡らせたに違いない。私は、最後ではないということ、そしてきちんとした場面が作られる事を確信していた。しかし、エピソードのまさに最初になろうとは予想だにしなかったし(去年から加速度的に進んでいるウェスタロスの旅よ、ありがとう!)、このシーンに20分近くも割かれるとは思いもしなかった。全てが引っくり返され、明るみに出た。我々が長い間待ち焦がれたこのシーンは、期待に答えてくれた。

ダニーがジョンの叔母である事を差し置いても、この二人をくっつけたがるファンは多いが、そこにロマンスはなかった。それでも、かすかなラブコメ感があった。ありふれたものでも悪くないかもしれないが、二人の出会いの場面には、知性、勇気、そして頑固さが見られた。両者一歩も譲らず、自らの正しさを裏付ける確固とした主張を展開した。この主張と反論のやりとりには説得力があった。しかもそれは、規模が大きくて残酷な策略、そしてその裏をかく謀略の数々を用意しているエピソードにおいてだ。ジョンとダニーは、対立する一歩手前だった。二人は友好的であったが、あらゆるウェスタロスの民を危険に晒す超自然的存在について、再び自分の言い分を述べるジョンからは、友好関係が崩壊する危険がまだ残っていると感じた。

 

「ジョンは自らの胸に短剣を受けた」と話すダヴォスをジョンが遮ったところは、最高だ。素晴らしいテンポ感で、張り詰める空気を解いてくれた。これは後に、ダニーがジョンについてより確かな判断を下すのに役立ち(もちろん、ティリオンの賢明な主張も忘れてはならない)、また膠着状態を解く鍵のようなものでもあった。私は、二人が次に会話した際にダニーが証拠としてジョンの胸の傷を見たいと言うのでは、とちょっと期待していた。これは実際、いつか起こるのかもしれない。

このエピソードは非常に良い流れで進んだ。30分とかからずに物語の連鎖から脱し、ウィンターフェルへと移ったのだ。ユーロンによる攻撃の一報とともに、舞台はドラゴンストーンからキングズランディングへ。そこではユーロンが珍しく熱狂的歓迎を堪能し、サーセイはエラリアに復讐を果たす。サーセイはとんでもないモンスターとされてきたが、あの会話の最中は、サーセイ側に立たざるを得なかった。怒りと悪意からミアセラを殺害したエラリアは、ここで因果応報を味わうのだ。確かにサーセイは常軌を逸したような虐殺方法を使ったが(このドラマには残酷な運命や恐ろしい拷問が付き物だ)、それでもなお、不当な扱いを受け、娘の死を悲しむ母として当然の行動だった。

私は、サーセイの最期が近いと推測している。なぜなら、ジェイミーと喜びをあらわにして時を過ごすほどに今週の彼女は幸せだったからだ。私は腹黒く嗜虐的な時間をサーセイのもとで共有できたことを、嬉しく思う。衝撃的ではあったが、支持できる報復だった。サーセイが王座に君臨して数週間経つが、彼女らしい姿に思える。ただ、TV番組として分析すると、サーセイには劇的な没落が待ち受けることは想像に難くない(しかも最近の本作は一層、定番のTV番組のようになってきているのだ)。ただ私が断言できるのは、ジェイミーにはドラゴンの一頭でも倒して欲しいという事だ。彼をキング・スレイヤー(王殺し)ではなく、ドラゴン・スレイヤーにしてやって欲しい。

「女王の正義」は先週のエピソード同様に大規模な戦争で締めくくられたものの、一味違っていた。最終的にダニーの軍勢にとって万事うまくいったわけではないが、その一連のシーンはユニークに感じられた。この夏は多くの大戦が控えることを考えると、これは重要なことだ。汚れなき軍団がキャスタリーロックを侵攻、ティリオンの声で計画が説明されるのだが、原作からの素敵なトリビアとして、ティリオンが身分の低い、砦の下水建設工だったことがとうとう明かされた。ティリオンが侵入方法について語るにつれてキャスタリーロックでの衝突が別の様相を呈したという点で、この断片映像は遅くに挿入されていたものの、素晴らしかった。

しかし、これは大きな回り道であり、また戦略に長けたサーセイがダニーの重要な同盟であるタイレル家を滅ぼす策でもあった。今週ついにキャスタリーロックを見ることができると興奮していたものの、同時に番組は我々に始めて見せたハイガーデンを戦略上の肝にしたことで、視聴者を見事に騙してくれた。ティリオンも(再び)騙された。壮大に、二重に騙されたのだ。

 

ジェイミーとオレナによる、本エピソードのラストシーンは完璧だった。前シーズンが終わる頃には、次第に狂い悪辣になっていくサーセイに組するジェイミーに対して、私はちょっと戸惑っていた。サーセイについて意見が二極化するなか、ジェイミーは今も人気者だ。サーセイは素晴らしいが、悪役としての彼女についてファンが二分化しているのだ。シーズン6でジェイミーは、リヴァーラン城にて、彼をより思いやりのある人物に形作ったストーリーの象徴であるブライエニーに別れを告げた。ジェイミーは非常に魅力的で幾層もの深みがあるし、いま彼を善悪両面で捉えることができてさらに嬉しい。

ジェイミーがオレナに慈悲を見せ、痛みなく死なせたのは見事だったが、同時にその恩を仇で返すように、自分がジョフリーの苦しみに満ちた死の黒幕の一人だったと明かすオレナも最高だ。視聴者にとって、ジョフリーの死にオレナが関与していたことは明らかだったが、ジェイミーとサーセイには初耳だった。どこでジェイミーが判断を下す側に立つようになったかはわからないが、視聴者はみなサーセイがティリオンとサンサを責め立てたことを知っている。ジェイミーはこのことを本当にサーセイに伝えるだろうか? それは……賢明ではないだろう。

ハイライトのピックアップ:

  • 「10人の猛者があれば落とせるね」。ティリオンがブロンのセリフを引用したのは最高。
  • 今週ジェイミーが用いた戦術はロブ・スタークがシーズン1でジェイミーを捕らえたときのものだ。この番組における長期記憶は素晴らしい。
  • ジョンとデナーリスの場面で一番素晴らしいパートは、彼ら、あるいは少なくとも彼らの代弁者たちが、二人の類似性に気付き始めたところだ。二人がいかに見放された身分から高い地位へと上り詰め、一生懸命に不正(とモンスター)から民を守ろうとしているか、ということに。
  • オールドタウンでは、治癒したジョラーが愛するカリーシを探す旅に出る。一方、彼を治したサムの受けた褒美は「罰を受けない」というものだった。全体として大きなことは起きなかったが、良いシーンだった。
  • 全く同じではないものの、ユーロンの気取った態度やジェイミーへの嫌がらせは、まるでジェイミーがキングズランディングに到着したネッド・スタークにした仕打ちのようだ。