「シャドウ・オブ・ウォー」は「シャドウ・オブ・モルドール」の続編ではあるが、ただ「バットマン」シリーズ譲りのアクションを搭載されたもう一つのオープンワールドゲームではなく、前作を遥かに超えた作品だ。秀逸なネメシスシステムが、それぞれユニークな名前を持った敵との遭遇を忘れられない戦いにしている。また、新たな要塞征服要素はメインストーリーを通り越して、興味深い非同期マルチプレイを可能にしている。
本作のストーリーは前作同様に、「指輪物語」の世界を素早く、かつ自由に駆け抜ける。アラゴルンそっくりのタリオンとその体に憑依しているエルフの幽鬼ケレブリンボールが新たな「力の指輪」を鋳造し、その直後に指輪を失うところから、物語は始まる。二人のストーリーは魅力のないセリフにあふれていて冗長に感じるが、力強いシーンもある。
5つのエリアは全て独特で、バラエティ豊かな体験をさせてくれる。
指輪の幽鬼の堕落シーンへのフラッシュバック、バルログとの戦い、更にはミナス・モルグル誕生まで、全てが抜きん出ている――もちろん、正史と異なるイベントに耐えられればの話だが。ストーリーはプレイヤーをそれぞれ特徴のある面白い場所――少なくともビジュアル面においては――に連れて行く。本作の5つのエリアは全て独特で、バラエティ豊かな体験をさせてくれる。
時々「Minecraft」のようなグラフィックスを見せてしまう。
走り回るプレイが多く、岩棚に足止めされてお手上げ状態になるといった例外を除いて、素早く面白いタリオンの動きはそれを楽しめるものにしている。
一方、見た目が違うとはいえ、全ての場所は機能面やそこに住まう敵と野生生物の種類においては同じだ。その美しいビジュアルも、テクスチャが唐突に現れるという問題で台無しになる場合があり、時々「Minecraft」のようなグラフィックスを見せてしまう。
ウルクの小隊長たちはサプライズと個性に満ちており、吟遊詩人のようなウルクもいる。
ランダムに生成される無数のウルクの小隊長たちとの出会いこそ、本作のストーリーを構成する最も大事な要素だ。コンスタントに大勢の多彩なキャラクターに出くわすのは、実に楽しい。それぞれの敵に、膨大な選択からランダムに組み合わされた強みと弱点がある。彼らはサプライズと個性に満ちており、50時間以上プレイしてもなお、新たな顔や声、装備の敵に遭遇する。吟遊詩人のようなウルクもいて、実に愛しい。美麗なスローモーションで見せられる最後の一撃で彼らの頭や四肢を切り落としてしまうのが惜しいくらいだ。
ウルクの小隊長たちにはゲームの流れを変えかねない戦利品が詰まっているので、彼らを倒すか、あるいは洗脳・支配して味方にするかという選択もまた、面白いゲームプレイ要素となっている。