またFEでおなじみダブルや三すくみ、ユニットのロストというシステムも非常にうまく機能していた。本作の難易度はかなり低めに設定されているが、それでもスタート時の最高難易度であるハードでは、たびたびNPCが敵陣に突っ込みやられてしまうことはあった。ユニットが倒されないためには、三すくみを理解して相性が良い敵への攻撃を指示なければならない。また傷ついたユニットは他のキャラクターの後衛に入れるといった救助手段があり、2つのユニットをまとめて運用するダブルは攻守ともに使える機能である。さらにロストがあるクラシックモードはただ相手を攻めるのではなく、戦力のバランスを取ってうまくユニットをマネージメントする楽しさがある。
とはいえ、バトル自体に欠点がないわけではない。大味な戦闘、マップの使い回し、単純で繰り返しが多いギミック(いくらなんでも「龍脈」に頼りすぎである)といった無双シリーズでおなじみの欠点は散見される。根本的な問題点としてはやはりレベルデザインが少々、雑であり、同じことの繰り返しである部分だ。ゲーム後半のマップほど単調さは際立つため、物語が陳腐だけにプレイするモチベーションはキャラクターの育成にあるくらいだろう。その分、キャラクターの育成は装備品、紋章と呼ばれるスキルツリー、クラスチェンジとたくさん詰め込まれている。まあクリアにはほとんど必要がないものばかりなのだが。
以上を総合すると、本作はFEのキャラクターや世界観を活かしきっているとは言い難いが、無双シリーズとしては十分な発展が見込め、全体としてはなかなか良いものにまとまっている。Switchのスペックを活かしたグラフィックスは本体モニタでは十分に美しい。3Dカットシーンと2D立ち絵をあわせた演出はやはりぎこちなさを感じさせるが、それも昨今のFEの標準的な水準と言える。本編ストーリーモード以外にもこれまでのFEを再現したヒストリーモードや音楽やカットシーンのギャラリーなどボリュームも十分だ。昨今のFEで重要な要素となるキャラ同士の会話シーンは間に合わせ程度だが、ドット絵やおなじみのSEなどによるファンサービスはそれなりだ。またスプリットスクリーンでのローカルマルチプレイにも対応している。フレームレートが落ちるのが玉にキズであるが、友達とプレイして絆を深めるのは悪くないだろう。