コンシューマー版SAOシリーズ 第5弾「ソードアート・オンライン フェイタル・バレット(SAO FB)」のレビュー記事です。
GGO(ガンゲイル・オンライン)の世界観をベースとしたTPSRPGの本作。ゲームジャンルだけでなく、プレイヤー=アバターの視点で見る、これまでのシリーズとはスタイルの異なるストーリーが楽しめます。キリトを操作して、死銃と戦う特殊モードも用意されており、ファンサービスも万全でした。
TPSアクションやゲームシステムに関しては、全体的に荒削りな印象でしたが、慣れてくれば楽しめる個性的なクオリティです。頻発するローディングや厳しすぎるトゥルーエンドの分岐条件が気になったものの、クリアして振り返ってみると、文句を言いながらも満足の行く作品でした。
プレイヤー視点で展開されるオリジナルストーリー
キリトとは別に主人公=プレイヤーが存在する、これまでの作品とは大きく異なるストーリー展開が楽しめる本作。プレイヤーとオリジナルキャラクターのドラマが中心となるため、スピンオフのようなスタイルですが、キリトや仲間たちと一緒に冒険するシチュエーションは魅力的でした。
過去作品のゲームオリジナルキャラクターが登場することに加えて、原作キャラクターの設定もゲーム版準拠のため、完ぺきに楽しむなら既存シリーズのプレイは推奨です。登場キャラの半分がゲームオリジナルで、シリーズも5作品目になると、独自の世界観が構築されています。
原作アレンジのクエストに挑むキリトモード
メインストーリーを進めていくと、キリトを操作して死銃と戦う、原作アレンジクエスト「キリトモード」を遊ぶことが可能です。大きな流れは原作と同じですが、細部がゲームの世界観に合わせてアレンジされており、アニメのカットを多用しながら展開していきます。
キリトの装備やスキルは近接特化で構成されているため、アバターで銃器をメインに遊んでいた場合は操作が新鮮でした。キリトモード限定のキャラクターイベント発生や、アバターと同じように戦場へも行けるため、キリトを操作してGGOの世界を堪能することもできます。
豊富なサブイベントとイベントイラスト
キャラクターとの友好度を上げると、専用のサブイベントが発生。友好度のRankによって段階的に解放されていき、専用のイラストが存在する物も多いです。友好度を最高Rankまで上げることで発生するデートと添い寝イベントは、ほぼ全てのキャラクターに用意されています。
ちなみに、原作キャラとの添い寝はキリトモード限定。ゲームオリジナルキャラとの添い寝はプレイヤー限定です。過去作品のオリジナルキャラクターも、添い寝相手がプレイヤーなのは少し気になりましたが、キリトとのイベントでも別イラストが用意されている豪華な内容でした。
戦場に出てしまえばシームレスで遊べる反面、街中やイベント中にローディングが頻発する点は、ストレスを感じました。1度のロード時間は10秒前後ですが、マップ移動やイベントのシーンが切り替わるたびに発生するため、待ち時間の合計はかなり長いです。
移動するたびにローディングが発生するのに対して、クエスト受注やアイテム鑑定のNPCが別々のマップに配置されていることも気になります。ロード時間を短縮するのが難しいのなら、工夫や配慮で遊びやすくしてほしかったです。
頻繁にシーンが切り替わるイベントもあって、事あるごとにロード画面が表示されてしまうと、内容に集中できませんでした。
厳しすぎるトゥルーエンドへの分岐条件
本作のストーリーは、条件によってノーマルとトゥルーに分岐するマルチエンディング形式です。トゥルーエンドにたどり着くには、「全キャラクターのサブイベントを全て見て、ラスボス戦で条件を満たす」という厳しい条件が設定されています。キャラクターが19人もいるため、サブイベントの回収はかなり大変です。
前述したとおり、サブイベントを見るには、高い友好度が必要になります。友好度を上げるのに効率が良いのは、一緒に戦うことではなく、わざと殺して蘇生を繰り返すという作業なので、条件を満たすためとはいえ複雑な心境でした。なお、効率良くやっても3人1セットで友好度を上げるのに1時間ほどかかります。
苦労した先で見られるトゥルーエンドの評価は高く、頑張ったかいがあったのは救いでした。アバターとキリトが共演するストーリーの締めくくりとして、思い出に強く残る内容です。正直言って、ノーマルエンドで妥協するのは難しい内容のため、プレイする人は覚悟を決めて遊び始める必要があります。
独特の面白さを備えたTPSアクション
2種類の武器と8つのスキル・4つのガジェットを持ち込める戦闘は、自分だけのバトルスタイルで遊べるTPSです。銃撃戦メインのゲームですが、カバーアクションがシステムとして存在しないため、敵味方どちらも好戦的に撃ち合うことになります。よく殺し、よく殺される、少し荒削りなゲームバランスです。
難易度選択や、自動的に敵をエイムするアシストモードが用意されているため、TPSに慣れていない人でも遊びやすい感触でした。もちろん、アシストモードを切って戦うことも可能です。攻撃した部位によってダメージが大きく変化するので、プレイヤースキルがあれば効率良く戦える仕様でした。
他にも、ワイヤーを射出することによって立体的な移動ができる「UFG」や、武器種ごとに用意された必殺技「ウェポンアーツ」など、覚えなければならないことは多いです。使いこなせるまでは困惑してしまいましたが、慣れてくると独特の面白さがクセになってしまう魅力を備えていました。
試行錯誤が楽しめる多彩な育成要素
戦闘中のゲームシステム同様、育成要素も豊富に用意されています。ポイントを割り振って成長させる6種類のステータスを中心に、武器の装備条件やスキルの獲得条件などが連動している仕様です。同行できるサポートAIも自由にカスタマイズできるため、2キャラクター分の育成が楽しめました。
装備できる武器はカテゴリーだけで10種類以上。同じ武器種でも、武器によって性能が大きく異なります。レアリティやランク、ランダムで付与される特殊効果など、武器だけでも要素が膨大です。武器同士を合成させて、特殊効果を強化することも可能なので、やりこみを始めると終わりが見えません。
各要素が細かいのに対して、ヘルプだけでは不透明な部分も多いので、基本的には手探りの育成です。幸いにも、カスタマイズしたデータのセーブ・ロードが可能で、ステータスの振り直しも容易だったため、気軽に試行錯誤を楽しむことができました。
不自然な挙動を繰り返す味方NPCのAI
戦場には、最大で3人の仲間を連れていくことができます。キャラクターごとに装備・スキルやロールが異なるため、組み合わせ次第で様々なパーティーメイクが可能です。ストーリーの一部を除いて、メンバーの制限は存在しないので、常に好きなキャラクターと一緒に戦えます。
しかし、味方NPCが戦闘において全く信頼できない点は残念でした。プレイヤーの周りをぐるぐる走り続けたり、何もないところで立ちつくしていたりと、不自然な挙動を繰り返していることが多かったです。攻撃も消極的なため、火力はプレイヤーだけが頼りという印象でした。
仲間を蘇生する際の挙動は、更にあやしいです。自分の回復を捨てて接近する割に、蘇生行動には手間取るため、敵の近くでプレイヤーが倒れると芋づる式に全滅します。逆に、NPCが蘇生に来ないで立ちつくしている場合もあって、リスタートするしかない状況に陥ってしまうことも、1度や2度ではありませんでした。
さいごに
特記はしなかったものの、細かい不具合も目立った本作。シリーズとしては5本目ですが、これまでの作品とは別の開発会社でジャンルも異なるため、荒削りな印象が強かったです。とはいえ、遊び慣れてくるとジワジワ面白くなってくる内容だったので、悪い作品ではありません。
今後のDLC配信と併せて、パッチによる修正・調整が行われると予想されるため、不具合や不満点が改善されていけば、良作に化ける可能性も十分にあると感じた作品でした。
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多彩な育成要素と武器の種類
豊富に用意されたイベントイラスト
アバター視点で見るオリジナルストーリー
目に付く様々な不具合
役に立たない仲間NPCのAI
頻繁に発生するローディング
厳しすぎるエンディング分岐条件