「Horizon Zero Dawn」はアーロイの素晴らしい旅だった。そしてDLC「凍てついた大地」がこのゲームの素晴らしさをもう一度証明した。この大規模な拡張コンテンツはチャレンジングで素敵な15時間の冒険で、クリエイティブなサイドクエスト、練り込まれたストーリー、そしてアーロイが経験した中で最高の戦闘がふんだんに含まれている。

「凍てついた大地」の新しいストーリーはゲーム本編と融合されているが、本編をクリアしなくてもメインクエスト完了後にプレイできる。ただし、レベル30未満で挑戦するのはやや無謀だ。DLCをインストールした後、すぐにゴージャスな新エリアに行くことができる。雪に覆われたこの地で、プレイヤーは本編にも少し登場している遊牧民バヌーク族を取り巻く謎を解き明かしていく。

Horizon Zero Dawn:凍てついた大地 レビュー

 

「凍てついた大地」では、恐竜のような機械の獣がはびこるポストアポカリプスの世界の説明として、“神々とデーモン”という魅惑的なアイデアがクローズアップされる。「Horizon Zero Dawn」特有の用語をしっかり把握していないと、ストーリーの理解が難しいかもしれないが、この体験には十分な価値がある。ゲームが終わるまでに、私はこの残酷な世界における信仰について深く考えるきっかけとなる、数々の質問を投げられた。

アーロイは今回も温もりが感じられる親しみやすいキャラクターだ。「凍てついた大地」に突入する時点で、様々な問題解決に必要な強さとスキルを備えている彼女だが、力の成長に伴って成熟した人格もその強さに相応しいものとなっている。また、アーロイは本作の理性の声でもあり、「凍てついた大地」がバカバカしい場面に突入するたびに、アーロイはドライで機知に富んだツッコミを入れてくる。

新しい脇役たちも注目に値する。興味深くエキセントリックな彼らは、DLC内に散りばめられた多くのサイドクエストに登場する。それらのクエストは非常にクオリティが高く、「アンチャーテッド」や「トゥームレイダー」風のプラットフォームアクションや息をつく間もない戦闘に焦点が置かれており、プレイヤーの実力を試してくる。

 

新たな好敵手

DLCに登場する機械の獣の多くは馴染みのあるものだが、新たな大地でうろついているヤツらはさらに強力になっている。機械のシステムに侵入した「デーモン」の力によって、性能が遥かに強化された既存の個体が棲息しているのだ。大きくて立派な見た目を持つヤツらはアーロイを容易に死に至らしめ、プレイヤーがすでに忘れた恐怖を呼び起こす恐るべき強敵である。

「凍てついた大地」での戦闘は、「Horizon Zero Dawn」の中でも最も楽しいものだ。本編の終盤までに強力なアップグレードのおかげで満足に戦えるようになったとしても、「凍てついた大地」でデーモンの機械の群れと戦うには、大量の補給品がなければ簡単に圧倒されてしまう。そしてボスを務めるいくつかの新種の機械獣は、私の反射神経を極限まで試し尽くした。本当に命をかけて新たな戦いに挑戦しているという感覚はとても心地良いものだ。

 

さらに「凍てついた大地」には、シールドウィーバーの耐久値を下げ、周りの機械獣を回復させる「コントロールタワー(制御塔)」が追加された。それをオーバーライドまたは破壊するには集中力と時間が必要なので、機械獣たちに惨殺される前に倒そうとすると、手に汗を握るような緊張感を味わうことになる。

雪よ降れ

「凍てついた大地」の舞台である北の果ての地は圧倒的に美しい。雪に覆われた山々、峡谷、そして平原には蛍光色の湖が点在し、見事な青赤色の夕陽が輝く。DLCを最後までプレイするなら、この景色の中で十数時間を過ごすことになるので、舞台の美しさは重要なポイントだ。サクサクした雪のリアル感も大きなプラスとなる。

 

本編とのもうひとつの主な相違点は、アーロイのスキルツリーが拡張され、8種類のスキルを含む「流浪」という新たな項目が追加された点だ。オーバーライドした機械獣に騎乗しているときに乗りものの体力が向上し修理速度が増すスキルや、資源用スロットの容量が20%増加するスキルなど、「流浪」は「凍てついた大地」にとって必要不可欠なものというよりも、全体として「Horizon Zero Dawn」をより長く遊んでいられるゲームにするスキル群である。ブロードヘッドに騎乗しながら資源を集め、倒れた敵を調べたり、資源や改造アイテムを通常価値の半分のシャードに変換できたりすることは、とても手軽で快適な体験だ。簡単で当たり前のようにも思えるこれらのアイデアを、ゲリラゲームズがついに取り入れたことが嬉しい。