僕がEVO 2017に参戦した結果は前編で見てもらうとして、後編ではEVO参戦とともに楽しんでほしい観光や、参戦にあたっての必需品などについて記しておこう。
EVOの会場があるラスベガスで遊ぶ
EVO 2017には大会だけではなく多くの物販や企業ブース、同人グッズ販売や野試合スペースが存在する。僕が寄ったARIKAのブースでは「謎の格闘ゲーム(タイトル未定)」の試遊が行われていたり、大好きなアーティストがイラストポスターを売っていたりした。また、昔のアーケード筐体がいくつか置いてあったり、ユーザーがブラウン管やゲーム機を持ち込んで皆でワイワイと遊んでいたり。EVOはこれらの遊びに混ざっていく楽しみもある。ほかにも現地の中古ゲーム屋さんが店を出していたりして、海外版のゲームを安く手に入れられる。大好きなゲームソフトがもしそこにあれば本体と一緒に購入し、ホテルの部屋で日本版と海外版を比較しながら楽しむのも乙なものだろう。
現在のEVOはラスベガスで行われているということもあって、会場のマンダレイ・ベイ周辺だけでも楽しめる場所がたくさんある。ホテル内通路にあるショッピングストリートをはじめさまざまなジャンルのレストランやフードコート、プールや水族館。僕が泊まったルクソール・ホテルにはギャラリーやショーが行われる小劇場もあった。ひとたび大通りに出れば、欲しい物が自然と出てきてしまうくらいのお店の多さにもびっくりすることだろう。ブランド店が多く入ったショッピングモールやチョコレートで有名なハーシーズやM&M’sの専門店、ニューヨークやフランスを模した建物など見どころ満載だ。
またラスベガスといえば忘れてはいけないものがカジノ。大通りを歩いていて、ふらっと寄る建物はすべてカジノと言っても過言ではないくらいたくさんある。何せ空港の発着ゲートにスロットが並んでいるくらいだ。僕もビギナーズラックで約400ドルのプラスを勝ち取ったが、ドル札1枚でサッとプレイできてしまう簡単さの影響か、ギャンブルの魔力に取り憑かれそうになった。くれぐれもご利用は計画的に。
事前に予定を決めておき旅券も確保できれば、ラスベガスから飛行機に乗ってどこかへ行くのもありだろう。僕の場合は日帰りでロサンゼルスへ向かった。映画好きな僕にとってハリウッドを歩くことが夢だったからである。そして旅行へ行く前に観てドハマりした映画「ラ・ラ・ランド」の聖地巡礼のためだ。有名人の名前や手形がずらりと並んだハリウッド大通りを適当に歩いても楽しいし、ヴィンテージな古着屋に入るもよし。またグリフィス天文台の内部展示や付近から眺める景色はとても素晴らしい物なのでハリウッドへ寄った際はぜひ立ち寄ってみてほしい。
EVO参戦にあたって必要なもの、あったほうがいいもの
EVOに参加するためには事前にチケットをウェブ購入しておかなければならない。EVO会場入場権が55ドル、各タイトル大会に参加する場合はさらにそれぞれ10ドルずつ支払う形になる。これらの料金は開催日が迫るほど割高になっていくので、参加予定が立てられそうであれば早めの購入をおすすめしたい。また最終日の観戦チケットは別売りで、最低でも70ドル近くはかかる。決勝戦を間近で観たいならこちらもお早めに。
会場に入場する際には開催日前日から受け取ることができる入場パスを持っていかなければならない。受け取りの際は参加チケット購入が確認できる書類とパスポートが必要になるため、忘れずに持っていこう。再入場の際にもパスは必要になるため常に首から下げておく事をおすすめする。
また大会に参加するにあたって、使用するコントローラ類はすべて自分で持ち込まなければならない(詳細なレギュレーションはこちらを参照。ちなみに天板やボタンデザインがカスタマイズされたアケコンの使用者も多い)。僕が参加したタイトルはすべてPS4で行われたため、それぞれ普段から使っているアーケードコントローラを持っていくことで事足りた。現地まで運ぶ際空港でスーツケースが投げられスティックが壊れてしまうのを恐れた僕は手荷物として大きめのリュックに入れて背負っていった。一方師匠はリュックが重いのを嫌がっていたので、プチプチの緩衝材でアーケードコントローラ全体をぐるぐる巻きにしてスーツケースに入れて運んでいった。大会中はいつ呼ばれても良いようにお互い自分のコントローラは手で持って歩いていた。
PS4本体でパッドを使用する場合、自分の試合が終わる度にパッドと本体のBluetooth接続を切らないと、その本体で行われる他の人の試合にて意図しない操作が入り邪魔してしまう可能性がある。大会中にも切断を忘れているプレイヤーが結構いたので、もしパッドで大会参加する場合は注意してほしい。
海外旅行において不安要素になりうるのが英語力。僕個人が考える目安としては会話としての英語はまったく喋れなくてもいいので、ある程度相手の言っている単語が理解できるくらいのリスニング力があった方が好ましい。相手の単語を少しでも理解できれば、こちらがどう対応しどの単語を発すべきかを考えられる。あとはもう実際に行ってみて海外の会話文化に触れてみるしかない。僕の場合、師匠との2人旅だったが、大体のコミュニケーションは僕が代わってしていた。最初の頃は師匠も会話に入らずまったく喋っていなかったが、アメリカから帰る頃には相手が何を言っているのか感覚的に分かるようになっていた。その師匠曰く、「意外とどうにかなる!」とのこと。もし不安な人は自身の旅行計画や自分が泊まる場所・向かう場所のサイトや画像を印刷して持っていき、それらを見せつつジェスチャーしていくという方法もありだと思う。
またラスベガス観光をする際は熱中症対策に万全を期してほしい。周りが砂漠のおかげで日本のようなジメジメ感は皆無だが、7月のラスベガスは40℃を超えることもしばしばあるので油断は禁物だ。適度な水分補給と休憩はもちろんのこと、日焼け止めや帽子といったものもあると便利だ。でないとせっかくの旅行なのに僕のように頭痛や吐き気に悩まされることになる。また、室内外の温度差が激しいうえに乾燥しているため、「喉のケアを忘れずに」というのが最終日に喉を痛めてしまった僕からのアドバイスだ。
ちなみに水はホテルや売店で買うと500ml1本で2ドル3ドルかかるので、もし余裕があればラスベガス到着時にでも現地のスーパーマーケットに寄って大量に買っておくといい。僕が見かけた所では水が24本10ドルだった。
なお機内での旅は日本からロサンゼルスまで約12時間、ロサンゼルスからラスベガスまで1時間。便によっては乗り継ぎにさらに時間を要する場合もあるため、可能な限り睡眠をとっておくことをおすすめしたい。
最終的な経費は5日間のホテル宿泊&航空券セットの代金約12万円に加えてホテルサービスの利用費やタクシーやバスの移動費、食費、お土産代などを含めると約20万円はかかった。今回初のアメリカということでお土産や欲しい物をバンバン買ってしまった結果、この額になってしまったのだが、また行けることになったらもう少し抑えようと思う。
すべてを終えて
自分にとって初めてのことが多すぎたEVO 2017。自身の力で歩いた異国の地、アメリカを含めた多くの海外文化に直接触れ、海外プレイヤーとの交流、素晴らしい経験を通してたくさん成長できたと思う。なかでも英語力に関してはずば抜けて高まった。帰る頃には軽いジョークを飛ばせるようになっていたし、これからもし海外旅行をする機会があっても自信を持って行けることだろう。
正直な話、僕はこの大会を終えたら一区切りとして少し格闘ゲームから離れようと思っていた。思うように上手く動けず多くのストレスを抱えてしまったこともあったし、何より幼い頃みたいに格闘ゲームを素直に楽しめなくなっていたからだ。「勝たなきゃいけない、少しでも上へいかなきゃいけない」という義務感と「負けると悔しい」の振り幅が激しくなってしまった結果、周囲の人々、特に家族には多大なる迷惑をかけていた。
しかしこのEVO 2017を通じ、参加者たちが見せるたくさんの顔を見て、僕はあの頃の気持ちを取り戻せたと思う。ゲーム好きがこうしてひとつの場に集まり、ときには互いの技を出し切って切磋琢磨し合い、見る者は全力で応援し、ときにはふざけあって馬鹿騒ぎするこの空間がとっても心地よく楽しかったからだ。来年もまた参加できるチャンスがあれば僕は迷わず飛んでいく。今度はより高い順位を目指して。数多くの経験を積むために。それまで修業の日々である。それに「また会おう!」と言い合える海外の友人たちもできたしね!
この記事を読んでくれた方々のなかに、もし「来年のEVOに行ってみようか迷っている」という方がいらっしゃるならば、僕は迷わず行くことをオススメします。僕はあなたが「少しでも行こうと思ってくれた気持ち」を後押しします。EVOという大舞台で、ゲームに関する部分においても海外旅行という人生経験の部分においても、多くの成長を見込める旅になることは僕が保証します。
もし現地でお会い出来たらそのときはどうぞよろしくお願いいたします!