「アローン・イン・ザ・ダーク」を始祖とし、「バイオハザード」で確立された3Dホラーゲームのスタイルは、その後に登場する数多くのタイトルに大きな影響を与えた。

2017年5月31日にレイニーフロッグからリリースされたPS4、Wii U用ダウンロードソフト「デッドハウス 再生」は、そんな初代「バイオハザード」をはじめとする、90年代に台頭した3Dホラーゲームの姿を、2017年の世に再現させた意欲作だ。TOKYO INDIE FESTにも出典され、大きな注目を集めたことも記憶に新しい。今回は、そんな「デッドハウス」のレビューをお送りする。

デッドハウス 再生

ローポリゴンとラジコン操作

まず目につくのは、初代プレイステーションのローポリゴンを彷彿させるレトロテイスト満載のグラフィックスだろう。当時を知る人が見たら「バイオハザードか!?」と勘違いしてもおかしくないくらい、近いイメージだ。

操作は、いわゆるラジコン操作となっており、グラフィックスだけではなく、操作感も90年代の同ジャンル作品を思い起こさせる。キャラクターが明後日の方向に向かってしまい、フラストレーションが溜まってしまうこともしばしば。この手のジャンルを通ってきた方からすれば、思わずクスリとしてしまうあるあるだ。

デッドハウス 再生

「デッドハウス」は当時のゲームを再現しただけの作品ではない。面白い点は、マップのレイアウトや配置がランダムで変化するということ。一定の攻略方法が通用せず、機転を利かせた対応が必要になってくるのだ。とはいえ、何度も繰り返しプレイしていれば敵の撃退方法も学習できるので、絶望的に難しいわけではない。むしろ、必要なのは高度なテクニックではなく、根気だろうか。

ハンドガンが手に入らない!? 忘れていた飛び道具のありがたみ

ストーリーはウイルスに感染した仲間のために、制限時間30分以内にワクチンを探し出すというもの。舞台は「バイオハザード」っぽい感じの洋館で、当然館内にはゾンビを始めとするクリーチャーが徘徊している。

難易度もなかなか骨太で、武器や弾薬はかなり制限されている。撃ちまくっていると、すぐに弾切れになってしまうのだ。

昨今ではゾンビが恐怖の対象ではなく、半ばギャグの要素として使われることも増えてきているが、本作をプレイして久々にゾンビに脅威を感じた。初代「バイオハザード」では道を塞いでいるゾンビを見た瞬間、ドキリとした人も多いと思うが、「デッドハウス」では、その時の気持ちを久しぶりに味わうことができる。

デッドハウス 再生
ゾンビ1体でも油断はできない……

さらに、ゾンビに追い打ちをかけるように登場するのが、「バイオハザード2」で初登場したリッカー……っぽいクリーチャーだ。動きもリッカーに似ており、ペタペタと音を立てながら向かってくる姿は生理的嫌悪感を覚える。耐久値も高く、ナイフでは苦戦必死だ。筆者は、こいつに何度殺されたことか……。

先に説明したように、マップはランダム生成になっているので、ハンドガン等の飛び道具がなかなか手に入らないことも多い。つまり、ナイフ一本で戦わなければならない局面も珍しくないのだ。ハンドガンのありがたみをこれでもかというほど味わったゲームは、久しぶりである。

デッドハウス 再生
このクリーチャー、どこかで見たような
デッドハウス 再生
カメラアングルも「バイオハザード」に代表される90年代3Dアクションアドベンチャーを意識しており、恐怖を煽るような絶妙のアングルも多い

もうひとつの見どころは、この手の作品にはめずらしく、キャラクターの成長要素を導入していることだ。本作では、敵を倒したりドアを開けたりするたびに経験値が入り、キャラクターのレベルアップに当てることができる。ステータスは、リロード、アイテム取得、ドアの開閉速度がアップする「意志の強さ」、ダッシュの持続時間が伸びる「スタミナ」、攻撃耐性がアップする「ライフ」、敵に与えるダメージが増える「狙い」など。

どのステータスをレベルアップさせるかは、全てプレイヤーの自由だ。ちなみに筆者は、「狙い」を上げまくってプレイしていたのだが、レベルを上げるごとに敵を倒しやすくなるので、比例するかのように難易度も変化していった。プレイヤースキルと並び、どのステータスをレベルアップさせるかも、攻略のキモとなってくるだろう。

デッドハウス 再生
自分好みにキャラクターを成長させることができる

当初は、3Dホラーアクションにレベルアップ要素がブレンドすることによって、どのような化学反応が起こるのか気になっていたが、思った以上に馴染んでいるというのが筆者の印象。アクションが苦手の方への救済処置とも言えるかもしれないが、レベルを敢えて上げない縛りプレイもできるので、慣れてきたら制限付きで挑戦してみるのも面白そうだ。

たとえば、ナイフオンリーのプレイとか。

根底に流れるのは、90年代3Dホラーアクションへの多大なリスペクト

「デッドハウス」をプレイしてみて改めて感じたことは、現在のゲームに比べ、当時のゲームが良い意味でも悪い意味でも不親切だったということ。

チュートリアルはないし、ある種理不尽にすら感じる敵の配置などは、思わず顔をしかめてしまう嫌らしさだ。弾薬の少なさからくる難易度の高さも、プレイヤーを突き放している。しかしそれだけに、クリアできた時は確かな達成感を感じたし、プレイヤースキルの成長も実感できた。この感覚は、実に久しぶりだった。

デッドハウス 再生
いかにも強そうな敵だが……

欲を言えば、もうちょっとボリュームが欲しかったというのが正直なところだろうか。

一度クリアすると、その後はタイムを縮めるだけのプレイに終始してしまいがちなので、ガッツリしたストーリーモードがあるといいかもしれない。きちんとしたキャラクターボイスも望みたいところだ。設定や舞台は文句なしなので、もっともっとデッドハウスの世界を堪能したい。同じ思いのプレイヤーはきっと少なくないはずだ。

ステータス画面がやや使いにくいのも気になった。カーソルがどこにあるか分かりづらく、プレイ当初はややストレスが溜まってしまった。

とはいえ、全体的な完成度は高く、いつの間にか熱中してしまう中毒性もある。操作性に関しては、お世辞にも良いとは言えないが、先にも述べたように、初代「バイオハザード」に通ずる要素として、「敢えて」悪くしていると理解できるだろう。

デッドハウス 再生
ハーブかと思ったら、ただの植物だった

「デッドハウス 再生」というB級映画のようなタイトルや、ゲームオーバーになると「シボウ」の文字がデカデカと登場したりと、狙ったようなチープさもたまらない。

90年代3Dホラーアクションを現代に蘇らせるという試みは成功していると思うし、新規要素にも挑戦しているため、ただのリバイバルに留まらない点も好印象だ。

レトロゲームのスピリットを感じるゲームは数多く存在するが、ほとんどは、ファミコンやスーパーファミコン当時のドットをイメージした作品が多いように思う。本作のように、初代プレイステーションやセガサターンなどの32bitマシンや、初代「バイオハザード」への敬意を感じる作品は、意外と少ないのではないだろうか。パッと思いつくのは、以前Steamでリリースされた「Back in 1995」くらいだ。

デッドハウス 再生

32bitマシンは、3Dポリゴンのゲームがコンシューマで本格的に登場し始めた、ターニングポイントとも言えるもの。ゲームの歴史を語る上でも決して無視はできない。

ゆえに、当時のゲームを再現している「デッドハウス」や「Back in 1995」のようなコンセプトのタイトルは大いに歓迎したいし、今後もぜひ登場してほしい。

筆者は32bitマシンに多大な影響を受けた世代でもあるので、この当時のゲームにスポットが当たることが純粋に嬉しかった。レトロゲームの中でもやや見過ごされがちな年代だからこそ、こういった作品が登場することに大きな意味があると思うのだ。

もちろん、「デッドハウス」と「Back in 1995」が、深いこだわりとリスペクトを持って制作されたということも、決して忘れてならない。

デッドハウス 再生
「ピアノ」と「月光」って、もしかして……

クセが強く、細かい不満点もあるため、本作は万人にお勧めできるゲームではないが、90年代の3Dホラーアクションを通ってきた方ならば、懐かしい気持ちで本作を迎え入れることができるはずだ。

我々がいつしか忘れてしまっていた、武器のやりくりや不気味な館内を探索する楽しみが、ゾンビ1体に振り回される苦しさといった当時のプレイフィールが、「デッドハウス」にはたっぷりと詰まっている。おそらく、初戦こそ苦戦するだろうが、だんだんと上手くなっていく快感こそこの作品の醍醐味。記事を見てピンと来た方は、今すぐPS4かWiiUを立ち上げて、「デッドハウス」の館へ入り込んでほしい。そして、死にまくってほしい。