レトロ風ゲームの新作タイトルというのも今では定番になってきた。8bitテイストのアクションゲームは探せば山ほどあるし、変わり種としてはローポリゴンの新作アドベンチャゲームなどが存在するくらいである。今ではひとつのジャンルとして確立したと言っていいだろう。

しかし、レトロであるがゆえの縛りもある。8bitスタイルで復活し人気を博した『ロックマン9』は、ほとんど同じスタイルの『ロックマン10』という続編を出したわけだが、これははっきり言ってまったく代わり映えしなかった。無論変わった部分もなくはないのだが、あえて古くしているのだから明確な進歩というものとあまり相性が良くないのかもしれない。

レトロ風ゲームというジャンル、それもその中の続編という立場において、新機軸を打ち立てるにはいったいどうすればいいのか。今回レビューする「マイティガンヴォルト バースト」はその点でかなり挑戦的な試みをしている。(なお、今回はSwitch版のレビューとなっている。3DS版は2017年6月28日配信予定)

レトロ風2Dアクションと大きく進化したカスタマイズ

マイティガンヴォルト バースト

本作はインティ・クリエイツが開発した2D横スクロールアクション。3DSとPCで配信されている「マイティガンヴォルト」の続編で、90年代のレトロゲームテイストが大きな特徴だ。主人公としては「Mighty No. 9」の「ベック」と、「蒼き雷霆 ガンヴォルト」の「ガンヴォルト」のふたりが登場するが、特に過去作や原作を知らなくとも問題なく遊べる内容になっている(つまりストーリーはあってないようなものだ)。

ゲームシステムはそれこそ「ロックマン」のような形式で、ショットを撃ち敵を倒しながら奥へと進んでいくというシンプルな作り。「市街地」「発電所」「軍事基地」など各ステージでそれぞれ特色があり、最奥部にいるボスを倒せばステージクリアとなる。

道中には回復アイテムとして使える「ストックアイテム」(食べ物の絵柄のアイテム)が落ちているほか、「モジュールアイテム」(詳しくは後述)などの重要アイテムが隠されている。取り逃したままクリアしても再挑戦できるうえ、ステージ選択画面ではどんな重要アイテムがいくつあるのか表示されるのでゆっくり探索を楽しんでもいいだろう。

ボスキャラクターは、炎をまとったインファイター「パイロジェン」、自由自在に空を飛ぶ「アヴィエイター」など「Mighty No. 9」のキャラクターで、ドット絵になっても印象的だ。刀を使いこなす「ブランディッシュ」のヘリを墜落させてくる技は“90年代のアクションゲームで見た惚れ惚れとするような迫力あるドット絵”に仕上がっており、思わず感嘆の声を上げてしまうほどだった。

マイティガンヴォルト バースト
バーストコンボが発生した場面

本作はふつうに遊ぶこともできるが、やりこみ要素が充実している。敵を近距離で倒すとスコアボーナスが入る「バーストコンボ」というものが存在しており、これを駆使してハイスコアを目指す遊びも存在する。また、タイムが記録されるのでタイムアタックをしたり、特定の条件をクリアするチャレンジをこなしたり、収集要素となる「ピクセルシール」を集めて楽しんでもいい。

前述のように、道中には「モジュールアイテム」というものが隠されており(もしくは置いてあり)、手に入れるとベックとガンヴォルトのショットの性能などをカスタマイズすることができる。カスタマイズというと少し性能を変えるくらいに捉える人が大半だと思うが、そうではない。これは狂気のやりこみ要素と言ってもいい。

マイティガンヴォルト バースト
カスタマイズ画面の一部。「発射後性能」はホーミング・カーブ・ウェイブなどが設定でき、その中からホーミングを選んだ場合はサーチ範囲・最大補正角度・追従頻度まで調整することができる

たとえばベックの場合、基本的なショットの種類(バレットタイプ)が9種類も存在しており、そこから弾数・発射タイプ・速度・貫通力・持続時間・消滅効果・バレットサイズ・攻撃力など、恐ろしいほど細部まで設定することができるのだ。当然ながら各項目の中にも複数の設定があり、各種モジュールアイテムを集めるたびに増えていく。

また、キャラクターのフィジカル性能もモジュールアイテムによって制御でき、フルオート(ショットの連射)・チャージショット・連射制限・ふっとび耐性・オートファジー(アイテムによる自動回復)・カゲロウ(被ダメージ後の無敵時間延長)・アイテム効果アップ・シールドヴォルト(被ダメージ量調整)など、間違ってデバッグメニューを開いてしまったかのようなカスタマイズ要素だ。

マイティガンヴォルト バースト
壁にぶつかったあと反射するショットにカスタマイズして使用した場面

カスタマイズの際はCP(コストポイント)の制限を考慮しなければならず、やたらと強くしたいのであれば隠されているCP上昇アイテムを見つける、ステージクリア時の報酬として受け取る、微量だが敵のドロップアイテムによって鍛えていくなどの方法が必要となる。やりこめばやりこむほど強くもできるし、逆に上手いプレイヤーであればあえてショットを癖のあるものにしたり、スコアアタックやタイムアタックに向いた武器を作ったりもできるというわけだ。

細部まで行き渡るカスタマイズシステムは良いものか悪いものか

マイティガンヴォルト バースト

「マイティガンヴォルト バースト」は基本こそレトロな2Dアクションだが、このカスタマイズシステムを軸にして続編として進歩しようとしたのだろう。そのため、これをどう捉えるかによって本作の評価が大きく変わるはずだ。

私にとって、このカスタマイズはSwitchを投げ捨てたくなるほどに面倒な要素であった。ガンヴォルトは「ライトニングスフィア」「ヴォルティックチェーン」など固有システムでCPを使うのでショットは適当でいいのだが、ベックはショットがメインなので本当に厄介だ。バレットタイプが多すぎるせいでややこしいし、それとはまた別に敵の弱点を突けるエレメントという要素があるのでそれだけで組み合わせ数が爆発的に増える。CP上限が上がるたび複数のショットの面倒をいちいち見るのが苦痛ですらあった。結局、使いやすいショットを一本だけ使って敵のパターンを覚えるほうが楽であり面白かったのだから、ショットをカスタマイズする項目のほとんどは不要だった。

アクションゲームが好きなプレイヤーは確かに、「あの武器がやたら強い」「一方であれはほとんどゴミ」「このキャラの無敵時間が長すぎる」などいい加減なことを言いまくるものである(かくいう私もそういうタイプの人間だ)。しかしながら、実際に細かい設定をいじりたいと考えたことがあるかとなると、それはノーである。私が考えるアクションゲームの楽しみというのは「用意されたシステムでいかに攻略するか」というものであって、前提を覆したいわけではなかったのだ。

マイティガンヴォルト バースト

また、確かにやりこめばやりこむほどキャラクター性能が高くなるのだが、キャラクターが強くなる救済要素は“そこまで行く途中に挫折する人”にこそ必要なのではないか。初心者向けという意味では、ゲームオーバーがなくチェックポイントも丁寧でレベルデザインも十分なのだが……。カスタマイズは複雑すぎて2Dアクション慣れしていない人がきちんと理解・設定できるか怪しい。

全体の品質としてはほとんど文句をつけるつもりはないのだが、やはりこのカスタマイズシステムは単純に褒められるものではない。とはいえ、このイカれたカスタマイズ要素には可能性がある。その可能性は否定しないものの、私は花開く瞬間まで待つことはできなかった。