最初は2011年にリリースされた作品であることを考えれば、2017年の新生「L.A.ノワール」が未だプレイヤーにサプライズを送り届けていることは偉業だと言える(オリジナル版の英語レビューはこちら)。素晴らしいボイスや今でも比類がない表情のアニメーションから、解決を待っている複雑な事件まで、多くの重要な部分に関しては見事な出来となっている。一方、時代を感じさせるガラガラのオープンワールドについては、とても上等とは言えないのが残念だ。

顔の引きつりやしかめっ面、皺のひとつひとつを細かく表現する役者陣の演技は輝かしい。

オリジナル版の発売から6年の時が経っても、「L.A.ノワール」は依然ユニークなゲームだ。1940年代風の犯罪者対警察のカーチェイスや銃撃戦も当然あるが、それよりも適度なペースを保ってプレイヤーの頭脳を働かせる高難度のチャレンジが抜きん出ている。容疑者の表情を読み、嘘をついているかどうかを判断する能力が試される。顔の引きつりやしかめっ面、皺のひとつひとつを細かく表現する役者陣の輝かしい演技と卓越したモーションキャプチャのおかげで、本作のメカニクスは上手く機能している。

2017年現在でも表情のアニメーションが際立っている。

21の事件の一部については似たようなことの繰り返しが気になるが、飽きそうになった頃には毎回、全く予期できない出来事が発生し、私を再びゲームの世界に引き込んでくれた。

主に照明に関しては、グラフィックの古さが目立っているのは否定できない。しかし、2017年現在でも表情のアニメーションが際立っている。それらのアニメーションに注意を集中させるべき瞬間には特に、時代を超越した高品質が感じられる。

L.A.ノワール レビュー
画面は全般的に暗く感じる。

ガラガラで活気のないオープンワールドは、2017年にもなると、さらに顕著になった。

一方、他の要素に関しては時の試練に耐えきれていない部分もある。2011年においても本作のガラガラで活気のないオープンワールドが気になっていたが、2017年にもなると、それがさらに顕著になった。オープンワールドの中で何も起こっていないにも関わらず、描画距離が短い。また、フレームレートが不快感をかき立てるほど頻繁に30fps以下に落ち、環境アセットが急にポップアップすることも度々ある。本作が1080p(ただし、Nintendo Switchの携帯モードでは720p)で動作できるのはせめてもの救いだ。

オープンワールドで繰り広げられる銃撃戦は大して楽しくないし、射撃の精度も低い。また、その面白味のなさを考えると、車を運転する時間が長すぎる。幸いなことに、ほとんどの場合、運転パートをスキップして「L.A.ノワール」の真骨頂である犯罪ドラマへと急ぐことが可能である。

Switch版では、モーションコントロールとタッチパネルが傑出している。

Switch版に関しては、「L.A.ノワール」は他の移植版に比べて、様々な意味でハードそのものの性能を活かしている。どんなコントロール方式でも、モーションコントロールを用いてカメラを操作したり、全ての事件現場にあるアイテムにアクションを起こしたりできる。携帯モードにこだわりたい人はタッチパネルを活用すれば、メニューを開くことを除いて、ゲームの最初から最後までコントローラーに全く触れずにプレイし通すことも可能だ。

いずれにしても、この内容豊かなストーリー重視のRockstar作品を現世代のゲームハードで遊べるのは素晴らしいことである。特にSwitch版に関しては、どこにでも持ち運んでプレイできるのもポイントが高い。