任天堂による最新のスマホゲー「どうぶつの森 ポケットキャンプ」をプレイしていると、まるで本作の設定である”田舎のキャンプライフ”を満喫しているような気持ちになる。従来の「どうぶつの森」シリーズでお馴染みのゲームプレイがコンパクトにまとまっており、ゆったりした気持ちで遊べる。スマホというデバイスの制限により引き止められている部分もあるとはいえ、シリーズの今にも実装してほしい新メカニクスのおかげでとても楽しいゲームになっている。

海外の一部の地域で先行配信された「ポケットキャンプ」には「どう森」お馴染みの要素をしっかりと収録している。プレイヤーは今回も近くで暮らすどうぶつたちと仲良くしたり、果物を収穫したり、虫を捕まえたり、住まいをカスタマイズしたりすることになるだろう。これらの活動はちょっとした暇つぶしにぴったりで、映画が始まるのを待っているときや通勤中に気軽に楽しめる。区分化されたデザインのおかげで、短い時間でも全体が管理しやすくなっている。

目標はすぐに見つかる。なぜならエリアごとに楽しめる活動がだいたい決まっているからだ。例えば釣りがメインとなるエリアが2つあり、他にも虫取りが中心となるエリアなどがある。3DSの「とびだせ どうぶつの森」ほど自由度が高くないのは否めない。だが、この仕様のおかげでちょっと時間ができたときでもすぐにプレイを楽しめる。ちなみに筆者はiPhoneでプレイしたが、ゲーム内の設定を変えたり、節電アプリを使ったりしたが、電池の消費は任天堂の他のスマホゲーと同じく、凄まじい。

エリアが区分化されていることのデメリットはその結果として発生するロード時間だろう。数分しかプレイできないときは特に不便だ。ロードが面倒で、特定の活動を先送りにしてしまったのも1度や2度ではない。ロード時間は数秒しかないのかもしれないが、短い時間のプレイに最適の本作においてそれは非常にもったいない。さらに、プレイ中は常にインターネットに接続している必要があるので、通勤中のプレイや飛行機の中でのプレイにもあまり向かない。
巧妙なデザインやメカニクスは多いが、細かいところで疑問に思う仕様はある。例えば、手に入れたリワードにありつくためには複数のメニューをスクロールしなければならない。これは限られたアイテムしか持てないプレイヤーのインベントリーをすぐにいっぱいにしないための仕様だと思われるが、お金の単位であるベルなどもこのようにまずはメニューをスクロールする必要があるので理想的な設計になっているとはいえない。「ポケットキャンプ」にはその日のゴールから長期にわたって目指すことになる目標まである。目標はどれも「労力」と「リワード」のバランスが保たれており、達成感が味わえる。3匹の魚を釣り上げ、特定のどうぶつとのなかよし度を上げ、他のプレイヤーのキャンプ場を訪れて、その日にリワードを受け取ることができる。だが、そんな活動を行う一方、キャンプ場をより充実させるためのもっと大きな目標もたくさんあるわけだ。過去作同様、「ポケットキャンプ」でも何をするかはプレイヤーの自由だが、「より誘導される体験」になっている。自由度が高すぎて目的を失う筆者はこのデザインをとても気に入っている。

自分だけのキャンプ場

世界の構図が過去作ほどオープンではなくても、プレイヤーが生活するキャンプ場のカスタマイズは極めて自由度が高い。キャンプ場の他にキャンピングカーもあり、アップグレードすることも可能だ。このアップグレードを担当する整備士は「ポケットキャンプ」の最も魅力的な新キャラクターの滑稽なペンギンの3人組で、彼らは例のごとくプレイヤーにローンを組ませることになる。プレイヤーをからかうことをおそれないヤクザな3人が次回作にも登場すると信じたい。

理想の家具を手に入れるために、過去作のように何度もお店を訪れることはない。本作の最も大きくて優秀な変化の1つは家具の入手方法で、プレイヤーはクラフトで家具やオブジェクトを作ることになる。

 

今作にもお店はあって、衣装にアイテムを購入することができるが、特定の椅子・ランプ・ギターなどをひたすら探し求める必要がなくなったのは大きなプラスといえる。クラフトはシンプルで、タスクを攻略することで木やウールといった素材を集めて、これらを使ってソファ、ベッド、テントといったものを作ることができる。理想のアイテムがたまたまお店に現れるまで待つよりはタスクをこなすことでクラフトする方がずっと楽しく、さらに言えば特定の家具やオブジェクトを設置しないとキャンプ場を訪れてくれないどうぶつもいるので身が入るだろう。

クラフティングが完成するまでは(リアルタイムの)時間がかかる。普通の椅子はほんの2分で完成するかもしれないが、テントのアップグレードともなれば12時間待つこともまれではない。そしてここで課金が入ってくる。プレイヤーはリーフチケットと呼ばれるアイテムで待ち時間をスキップできるのだ。これを聞いて怖気づく人もいるのかもしれないが、筆者はこのためにまだリーフチケットを購入したいと思ったことがない。リーフチケットは他にも使いみちがあり、例えばベル稼ぎができる鉱山に入ることができるが、他のタスクでベルは十分に入ってくるので今のところで鉱山へ行く必要性も特に感じていない。

リーフチケットは購入しなくても十分に楽しめる

ゲームの進めるためにリーフチケットを購入したいとは思わなかったが、実はシリーズの一部の人気キャラクターもこのリーフチケットでアンロックできる。リーフチケットで特定のアイテムを購入すればとたけけやたぬきちといったキャラクターがやってくるのだ。彼らの不在でゲームの体験が左右されないとはいえ、ファンの愛するキャラクターのカメオ出演が課金制になっているとは寂しい。

どうぶつの森 ポケットキャンプ レビュー

この仕様を除けば、時間の管理さえしっかり行っていれば課金する必要はそこまでないだろう。リーフチケットはレベルを上げたり、どうぶつたちを助けたりすることでも無料で手に入ることがあり、今のところそれで十分と感じている。

そもそも、リーフチケットを入手する方法として、どうぶつたちを助けることでリワードとしてもらう方が楽しい。なぜなら、新しく追加された「なかよし度」がその都度に上がるからだ。どうぶつたちとのすべてのインタラクション――魚や果物を渡したり、会話したり、キャンプに来てもらったりなど――は少なからずの影響がある。彼らと仲良くすることで個性豊かな性格のどうぶつたちがキャンプ場を訪れるようになり、新しいリワードももらえて、さらにランクが上がることでベルや新しいアイテムも手に入る。

なかよし度をマックスにしたいのであれば、どうぶつたちをキャンプ場に誘うのも重要だ。キャンプ場に変化が現れると彼らはちゃんと気づくので、相手が気に入りそうなものを設置するといいだろう。例えばアポロという鷹はスポーティーよりもクールなものが好みだ。彼は筆者のベストフレンドなので、最近はクールなキャンプ場を目指すようになった。

そこまで深いシステムではないが、ランクとクラフティング、それからRPGらしいメカニクスが導入されたことによってシリーズお馴染みの要素はさらに引き立てられている。「ポケットキャンプ」にここまで深い変更が施されるのは少し意外だったが、それらはシリーズの今後にも実装してほしいものばかりだ。